Santos doll（仏語Santons）の胸像。 スペイン統治時代のフィリピン、セブ島の聖像と聞いていますが、定かではありません。テラコッタ製。おそらくは基督教にまつわる聖女の頭部です。イコノクラスム（iconoclasm）、いわゆる聖像破壊運動の煽りを受けたか、頭頂から頸筋にかけて、亀裂が走ります。頭髪は無惨に剥ぎ取られ、着衣やアクセサリーもありませんが、穏やかな中にも凛とした表情は幸い無傷です。苦難のなか、人知れず微笑んでいるようにも見えます。 20年ほど前、名古屋－金山間のJR高架下になんとかというアンティークモールがありました。まだ開業まもない頃、そのうちの一件の骨董屋さんから分けてもらいました。たしか、35000円くらいしたと思います。聖女と目があってしまっての衝動買いでした。 舟越桂の若い頃の彫像を思わせる、深い眼差しの女性像。有縁の方に大切にしていただきたいです。